【助成報告】桑原志織 モンテプルチャーノ&ザルツブルクモーツァルテウム夏季国際ピアノアカデミー参加
2015年9月8日火曜日この度福田靖子賞基金からご助成頂き、8月2日から23日までイタリアAcademy The Palazzo Montepulciano と、ザルツブルクのモーツァルテウム夏期国際音楽アカデミーを受講して参りました。
モンテプルチャーノアカデミー前で |
モンテプルチャーノはトスカーナの高台にあり、絵本から抜け出てきたような素敵な街です。アカデミーは山の頂上にあり、かなり急な坂を登って通学します。石畳に石造りの家、城壁のような門やトンネル…中世の姿がそのまま残る美しい街並みを歩くとタイムスリップしたようで、疲れなど忘れてしまいます。
自由時間の練習室 |
レッスンは、一週間の滞在中4回あり、先生のパワフルな実演を寸分たりとも見逃すまいと、毎回必死でした。レッスン会場は天井の高いホールでしたので、先生と自分の響きの違いが如実にわかり、常に音に意識を向けて学ぶことができたように思います。
ベルハイム先生と |
最後の夜は、ピアノ、弦、声楽、全ての受講生が街のレストランに集い、夜更けまで語り合いながら親睦を深めました。
翌朝、次なるレッスンの地ザルツブルクへウィーン経由で向かいました。ところが、ザルツブルク空港で人生初のロストバゲッジに遭遇!スーツケースがないままヒヤヒヤした一夜を過ごし、翌日はいきなりオーディションです。私の希望したマッティ・ラエカリオ先生クラスは、希望者が多すぎたため、約半数に絞る厳しいオーディションが行われました。緊張が走りましたが、合格者の掲示で無事名前を見つけてほっとし、ホテルに戻ると、空港から無事スーツケースも届いていて安堵いたしました。
ラエカリオ先生と |
他の先生のクラスにも足を運び、聴講させていただきましたが、特に印象的だったのが、アリエ・ヴァルディ先生クラスです。生徒の演奏が終わると、皆が椅子ごとピアノに近づいて先生を囲み、作曲家の人生や曲のバックグラウンドについて、活発に意見を出し合い、ディスカッションしながら作品を深めていきます。受講生もそれぞれ高い見識を持つ人達で、先生の含蓄あるお話をきっかけに、音楽へのパワーが結集していくような興味深いものでした。レッスンがオープンなことも講習会の良さ.なのだと思いました。
ザルツブルク祝祭大劇場前 |
ちょうどザルツブルク音楽祭開催中でしたので、憧れていた、ムーティ指揮ウィーンフィルや、オペラ「薔薇の騎士」を鑑賞しました。鮮やかで気品のある音楽、美しすぎる舞台に釘付けになり、感激のあまりその夜はなかなか眠れませんでした。街全体に芸術が息づき、安全で、快適な環境のもとピアノに
専念し、充実した日々を過ごすことができました。秋以降の演奏会で、この夏学んだ成果を発揮していけるよう、さらに精進してまいります。 改めて、福田靖子賞基金のご支援に心より感謝申し上げます。