原田怜さん:エトリンゲン国際コンクール&いしかわミュージックアカデミー参加報告
2022年9月16日金曜日私は8月6日から8月14日までドイツで行われたエトリンゲン国際青少年ピアノコンクールに参加しました。このコンクールはフランクフルト空港から1時間半ほど電車に乗ったところにある、エトリンゲンという素敵な小さな町で2年に1度行われています。私はBカテゴリー(16歳から22歳)に参加しました。
初日に音源審査を通過した世界各国からの参加者が集まり抽選を行い、次の日から三日間第1ラウンド、翌日に選ばれた8人による第2ラウンド(決勝)のスケジュールでした。会場は街の中心にあるお城で、天井にまで美しい絵画に彩られたよく響くホールでした。
私は朝が苦手なのですが2日目の1番に弾くことになり(練習は7時から、本番は9時半から)心配したのですが、美しい街並みや教会の鐘の音など、この町の温かな雰囲気の手助けもあり、いつもと違うテンションで本番に望むことができました。練習室は会場から10分ほど歩いた音楽院のアップライトピアノをコンクール側で公平に割り当てられ、第1ラウンドは1日4時間、運良くまた弾かせていただくことができた第2ラウンドでは朝から自分の出番まで練習できました。空き時間はせっかくの機会でしたので、日本人出場者の応援の他、様々な国の出場者の演奏を聴いたり、疲れないようにホテルで休むなど気をつけながら過ごしました。日が経つにつれ、こちらの生活にもだんだん慣れ、第2ラウンド前はかなりしっかり集中して練習し本場に臨みました。このラウンドでは40分ほど弾いたのですが、弾き終わった後はもうやりきったと全身の力が抜ける感覚でした。その日の夜に発表が音楽院の中庭でありましたが、最後に名前を呼ばれて大変驚きました。
コンクール最終日の入賞者コンサートで弾かせていただける事になりましたが、4日後でしたので(そのうちの3日間はAカテゴリー審査)1日は思い切ってボンとケルンの観光に行きました。電車の車窓から見えるライン川にシューマンを重ねてみたり、ベートーヴェンの生家を訪ねたり、ケルンの大聖堂や様々な美術館を回りました。教会は色々行きましたが、ちょうどミサに立ちあえた教会があり、オルガンの音に包まれながら神聖な気持ちになれました。次の日には審査員の先生方と話す機会が設けられていたので、いろいろなアドヴァイスを頂けたのは貴重な経験でした。語学の勉強もまだまだ必要な事も痛感しました。入賞者コンサートはコンクールと別の広いホールで、前日夜にリハーサル、(こちらは響きがほとんどなく焦りました。)当日は街の方がたくさん聴きに来てくださる中、スクリャービンの幻想ソナタを弾きましたが、こちらが1番ドキドキしたかもしれません。
その後立食パーティーがありましたが、少し参加して後ろ髪を引かれながら、慌ただしくその日の飛行機に乗りました。現地ではもう一つのドキドキがあり、コロナ禍のため入国のため現地でのPCR検査が必須、陰性で無事日本に帰国できた時は本当にホッとしました。
そして休む時間もそこそこに8月17日から8月26日まで金沢で行われた、いしかわミュージックアカデミーに参加しました。小学生、中学生の時に参加、今回で3度目になります。4人の先生がいらっしゃり全員のレッスンを受講した後、最後に受講生発表会があります。ほぼ毎日レッスンが組み込まれておりましたので、ずっと緊張感が続き、空き時間は練習か聴講の日々でした。中井 恒仁先生には細部までの意識が必要な表現や弾き分けを教えていただき、野平一郎先生には曲の構造と響きの聴き方、ブルーノリグット先生にはインスピレーションが湧く感性を刺激されるレッスンを、パレチニ先生には楽譜から読み取れるショパンの解釈や浮き出てくるような音楽の表現を教えていただきました。どの先生方も情熱を持って細かく教えてくださり、高度なことをおっしゃるので必死についていく感じでした。期間中には別会場で行われていた弦楽器の先生方も交えた講師演奏会もあり、教えていただいた先生方の素晴らしい演奏を聴くことが聴けて幸せでした。幸運な事にIMA音楽賞を頂く事ができました。
今年の夏は福田靖子賞基金から助成していただいたおかげで、貴重な経験や学びをたくさん経験でき充実した日々でした。本当にありがとうございました。また支えてくださった先生方をはじめ多くの方に感謝しつつ、今後も一歩一歩学びを重ねていきたいと思っています。